【婦人科医に聞く!】更年期世代の「潤い不足」はどうケアする?〜粘膜ケアと栄養の関係〜

2025.07.18

更年期を迎える40〜60代女性に多い「潤い不足」やデリケートゾーンの乾燥感、性交時の痛みなどの悩みは、女性ホルモンの減少に伴う自然な変化によるものです。この記事では、エストロゲン低下と粘膜の関係を医学的な視点からやさしく解説しながら、ビタミンA・B群・D、亜鉛など粘膜の再生を助ける栄養素や、サプリメント活用のポイントもご紹介。粘膜は膣だけでなく鼻や口、目、腸にも存在しているため、体全体のコンディションを整えることが大切です。すぐに取り入れられる生活習慣の見直しや、粘膜を強くするための食事の工夫、血液検査を活用した栄養チェックなど、今日から実践できるヒントを満載でお届けします。

はじめに

「最近、潤いが足りない気がする」「乾燥を感じる」——。40代以降の女性に多いこうした声。デリケートゾーンの乾燥感や不快感は、年齢のせいだからと我慢していませんか?

fuwariでは、2025年3月の国際女性デーを記念して、婦人科医の白岩和香苗医師をお招きし、オンラインウェビナーを開催しました。

その中で、ご愛用者様から寄せられたリクエストのひとつが「潤うためのケアが知りたい」「閉経後に気をつけることやケアを知りたい」というもの。

こうしたご質問に対し白岩医師から、ホルモンバランスの変化とともに現れる「潤い不足」への正しい対処法について、粘膜ケアの考え方や、実は全身の健康とも深く関係していること、そして今日からできる食生活の見直し方まで、さまざまな観点から丁寧な回答がありました。

この記事では、そのウェビナーでのやり取りをもとに、ホルモンバランスの変化とともに現れる「潤い不足」への正しい対処法について、専門的な視点とともにご紹介します。

🎥 ウェビナーでの詳しい内容は、こちらの動画でご覧いただけます

更年期に「潤い不足」を感じるのはなぜ?

女性ホルモンの減少と粘膜の変化

更年期を迎えると、卵巣の機能が低下し、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌が急激に減少します。このエストロゲンには、粘膜を潤す働きがあるため、減少によりデリケートゾーンを含む全身の粘膜が乾燥しやすくなるのです。

「濡れにくい」はよくある悩み

「潤いが足りない」「性交時に痛みを感じる」といった悩みは、人に相談しづらいからこそ我慢してしまうことも多いもの。しかし、これは決して珍しいことではありませんし、適切なケアで大きく改善する可能性があります。

粘膜ケアは“体全体のケア”とつながっている

デリケートゾーンだけをケアしても不十分?

粘膜は、膣だけでなく、口、鼻、目、腸など全身に存在しています。実際、「最近、口の中が乾きやすい」「鼻の中がヒリヒリする」といったお悩みも、更年期以降に増えてくる傾向があります。

一部だけをケアするよりも、体全体の粘膜の状態を整えるという視点が大切です。たとえば、腸内環境や栄養状態を改善することで、膣だけでなく鼻や喉の乾燥も和らぐというケースはよくあるのです。

粘膜を元気にする栄養素とは?

ビタミンA・B・D、亜鉛などがカギ

粘膜の修復や再生を促す栄養素として知られているのが以下の成分です:

  • ビタミンA:粘膜の潤いを保つために不可欠。レバー、にんじん、ほうれん草などに多く含まれます。
  • ビタミンB群:細胞の再生を助ける働きがあります。豚肉や納豆、玄米に豊富。
  • 亜鉛:免疫力と粘膜の修復に重要。牡蠣や赤身の肉に多く含まれています。
  • ビタミンD:粘膜強化や免疫力アップに欠かせません。日光浴や魚介類、きのこ類で摂取可能です。

食べ物だけで補うのは難しい?

たとえばビタミンDの場合、必要量を食事だけで摂るのはかなり大変です。椎茸だけで必要量を摂るには、1日100個食べる必要があるともいわれます。うなぎでも6串ほど必要になることも。現実的にはサプリメントの活用も検討するのがよいでしょう。

ビタミンDは血液検査で確認できる?

実は、ビタミンの中でもビタミンDは「血液検査で測定できる」数少ない栄養素です。一般的な病院では検査できない場合もありますが、栄養療法を取り入れているクリニックでは、血中濃度を確認しながら不足分を補う治療を受けることが可能です。

自分に合ったケアを見つける第一歩として、そうしたクリニックに相談してみるのもおすすめです。

すぐに始められる生活習慣の見直しポイント

  • 加工食品や甘いものを控える:炎症を助長する可能性のある食品は粘膜にも悪影響です。
  • 日光浴を意識する:ビタミンDの生成には日光が必要。1日15分でも日差しを浴びる習慣を。
  • 質の良い睡眠:粘膜細胞の修復は睡眠中に行われます。
  • よく噛んで食べる:消化吸収を助け、腸内環境の改善にもつながります。

粘膜ケアは「全身ケア」への第一歩

デリケートゾーンの乾燥や「潤い不足」は、女性ホルモンの低下による自然な変化です。しかし、それを我慢する必要はありません。体の内側から粘膜を整えるケアは、日常生活のちょっとした見直しからでも始められます。

そして何より、自分の体の声に耳を傾けることが大切です。食事や生活習慣、必要に応じた医療機関の活用など、できることから一歩ずつ。
私たちfuwariは、そうした女性の毎日にそっと寄り添える情報をこれからもお届けしていきます。