更年期の“潤い不足”に使われる「エストリール錠」って?長年使っても大丈夫?

2025.08.27

更年期に増える「デリケートゾーンの乾燥」や「性交時の痛み」。これらは女性ホルモンの低下による“萎縮性膣炎”が原因のこともあります。そんな不調の改善に使われる「エストリール錠」は、膣内に直接作用し、潤いを取り戻す治療法のひとつ。この記事では、エストリール錠の働きや副作用のリスク、長期使用の安全性、日常でできるセルフケアまでを、専門知識に基づきやさしく解説しています。婦人科の受診に迷っている方や、初めて聞く治療法に不安を感じている方にも安心して読んでいただける内容です。

はじめに

更年期にさしかかると、体だけでなく「デリケートゾーン」にもさまざまな変化が現れます。なかでも「潤い不足」に悩む女性は少なくありません。そんな症状の改善に処方されることがあるのが「エストリール腟剤」。聞き慣れない名前に不安を感じる方もいるかもしれません。

fuwariでは、2025年3月の国際女性デーを記念して、婦人科医の白岩和香苗医師をお招きし、オンラインウェビナーを開催しました。

その中で、ご愛用者様から寄せられたリクエストのひとつが「性交痛と膣の潤い不足に悩んでおり婦人科ではエストリール錠を処方され時々使っています。この治療を長年続けても大丈夫でしょうか?」というもの。

この記事では、そのウェビナーでのやり取りをもとに、エストリール錠の特徴や効果、安全性について、医学的な視点からわかりやすくお伝えします。

🎥 ウェビナーでの詳しい内容は、こちらの動画でご覧いただけます

更年期に多い「デリケートゾーンの潤い不足」

40代以降、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量は徐々に減少していきます。これに伴い、肌や髪だけでなく、膣内の潤いも減っていくことがあります。

主な症状にはこんなものがあります

  • 膣の乾燥感や違和感
  • 性交時の痛み
  • おりものの減少
  • 尿もれや頻尿などの尿トラブル

これらの不快な症状を医学的には「萎縮性膣炎」と呼び、女性ホルモンの低下が主な原因です。

エストリール錠とは?——デリケートゾーンに直接使う女性ホルモン薬

エストリール腟剤は、膣内に直接挿入するタイプの女性ホルモン(エストリール)を含んだ薬です。粒状の小さなお薬で、膣に直接作用し、潤いを取り戻す助けをしてくれます。

エストリールとは?

エストリールは「エストロゲン(女性ホルモン)」の一種で、比較的作用がマイルドなタイプ。膣や外陰部の粘膜をふっくらとさせ、血流を改善することで潤いをもたらします。

飲み薬とどう違うの?

女性ホルモンの補充療法には、飲み薬・貼り薬・塗り薬など様々なタイプがありますが、腟剤は「局所」に作用する点が特徴です。

  • 経口薬(飲み薬):体全体にホルモンがまわる
  • 腟剤(エストリール腟剤など):膣周辺だけに作用

局所にのみ作用するため、全身への影響や副作用が少ないとされています。

長期的な使用は安全なの?

「長年使い続けて大丈夫なの?」という不安を持つ方もいらっしゃいますが、基本的には膣からのホルモン吸収はごくわずかとされており、長期的に使用しても問題ないケースが多いです。

ただし、以下のような症状がある場合は、かかりつけの婦人科で相談しましょう。

  • 不正出血がある
  • 下腹部の痛みがある
  • 膣の違和感が続く

また、まれに体質によっては子宮内膜に変化が出ることもあるため、年に1回程度の婦人科検診を受けておくとより安心です。

デリケートゾーンの潤いを守るセルフケアも大切

エストリール腟剤などの治療と並行して、日々の生活の中でできるケアも取り入れていきたいですね。

おすすめのケア方法

  • 保湿ケア:専用のデリケートゾーン用保湿剤で潤いを補う
  • 締めつけすぎない下着:通気性のよい綿素材を選びましょう
  • 適度な運動:血行を促進し、膣や骨盤底筋の健康を守る
  • バランスのよい食事:大豆イソフラボンなど、女性ホルモンに似た働きをもつ栄養素を意識的に

デリケートゾーンの悩みも、遠慮なく相談を

更年期に差し掛かると、これまでなかった不調や違和感が現れやすくなります。特にデリケートゾーンのトラブルは人に相談しにくい分、ひとりで悩んでしまいがちです。

けれど、こうした不調は「我慢しなくてもいいもの」。適切な治療やケアで、快適さを取り戻すことができます

エストリール錠のような治療法もありますので、気になる症状がある方は、ぜひ一度婦人科を受診してみてくださいね。あなたの毎日が少しでも軽やかになるよう、正しい知識とケアの積み重ねを応援しています。