はじめに
更年期にさしかかると、体だけでなく「デリケートゾーン」にもさまざまな変化が現れます。なかでも「潤い不足」に悩む女性は少なくありません。そんな症状の改善に処方されることがあるのが「エストリール腟剤」。聞き慣れない名前に不安を感じる方もいるかもしれません。
fuwariでは、2025年3月の国際女性デーを記念して、婦人科医の白岩和香苗医師をお招きし、オンラインウェビナーを開催しました。
その中で、ご愛用者様から寄せられたリクエストのひとつが「性交痛と膣の潤い不足に悩んでおり婦人科ではエストリール錠を処方され時々使っています。この治療を長年続けても大丈夫でしょうか?」というもの。
この記事では、そのウェビナーでのやり取りをもとに、エストリール錠の特徴や効果、安全性について、医学的な視点からわかりやすくお伝えします。
🎥 ウェビナーでの詳しい内容は、こちらの動画でご覧いただけます
更年期に多い「デリケートゾーンの潤い不足」
40代以降、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量は徐々に減少していきます。これに伴い、肌や髪だけでなく、膣内の潤いも減っていくことがあります。
主な症状にはこんなものがあります
- 膣の乾燥感や違和感
- 性交時の痛み
- おりものの減少
- 尿もれや頻尿などの尿トラブル
これらの不快な症状を医学的には「萎縮性膣炎」と呼び、女性ホルモンの低下が主な原因です。
エストリール錠とは?——デリケートゾーンに直接使う女性ホルモン薬
エストリール腟剤は、膣内に直接挿入するタイプの女性ホルモン(エストリール)を含んだ薬です。粒状の小さなお薬で、膣に直接作用し、潤いを取り戻す助けをしてくれます。
エストリールとは?
エストリールは「エストロゲン(女性ホルモン)」の一種で、比較的作用がマイルドなタイプ。膣や外陰部の粘膜をふっくらとさせ、血流を改善することで潤いをもたらします。
飲み薬とどう違うの?
女性ホルモンの補充療法には、飲み薬・貼り薬・塗り薬など様々なタイプがありますが、腟剤は「局所」に作用する点が特徴です。
- 経口薬(飲み薬):体全体にホルモンがまわる
- 腟剤(エストリール腟剤など):膣周辺だけに作用
局所にのみ作用するため、全身への影響や副作用が少ないとされています。
長期的な使用は安全なの?
「長年使い続けて大丈夫なの?」という不安を持つ方もいらっしゃいますが、基本的には膣からのホルモン吸収はごくわずかとされており、長期的に使用しても問題ないケースが多いです。
ただし、以下のような症状がある場合は、かかりつけの婦人科で相談しましょう。
- 不正出血がある
- 下腹部の痛みがある
- 膣の違和感が続く
また、まれに体質によっては子宮内膜に変化が出ることもあるため、年に1回程度の婦人科検診を受けておくとより安心です。
デリケートゾーンの潤いを守るセルフケアも大切
エストリール腟剤などの治療と並行して、日々の生活の中でできるケアも取り入れていきたいですね。
おすすめのケア方法
- 保湿ケア:専用のデリケートゾーン用保湿剤で潤いを補う
- 締めつけすぎない下着:通気性のよい綿素材を選びましょう
- 適度な運動:血行を促進し、膣や骨盤底筋の健康を守る
- バランスのよい食事:大豆イソフラボンなど、女性ホルモンに似た働きをもつ栄養素を意識的に
デリケートゾーンの悩みも、遠慮なく相談を
更年期に差し掛かると、これまでなかった不調や違和感が現れやすくなります。特にデリケートゾーンのトラブルは人に相談しにくい分、ひとりで悩んでしまいがちです。
けれど、こうした不調は「我慢しなくてもいいもの」。適切な治療やケアで、快適さを取り戻すことができます。
エストリール錠のような治療法もありますので、気になる症状がある方は、ぜひ一度婦人科を受診してみてくださいね。あなたの毎日が少しでも軽やかになるよう、正しい知識とケアの積み重ねを応援しています。